日経225への驚きと期待

これを日本凋落のサインと受けとって意気消沈するか、矛盾を解決した後にはよりよい国家に再生するのだと考えるか、この判断が、国民一人ひとりに問われていたのである。
ゼネコンはバブルの時代に建てた、あるいは受注した工事の代金回収がなかなか進まず、経営内容の悪化が懸念されていたが、ここに来ていよいよ倒産というドラスティックな事態に見舞われ始めたようだ。 銀行は官民一体の金利低下誘導で償却資金をかなり稼いでいるので、こういう「計画倒産」はこれからも続くだろう。
しかし、「計画外」の倒産がいつ発生するかわからないのが、現在の経済情勢の恐ろしさである。 1993年、業界二十数位の中堅ゼネコン、 M 建設(奈良県)は、戦後最大と言われる総額5300億円にものぼる負債を抱えて会社更生法が適用された。
これからの時代、資金運用においては金利の高い低いを考える前に、元本の安全性をよく見極めることが大切である時代の大混迷期を迎え、いかに生きるべきか悩んでいる方にとっては、自分の人生を決めるのは自分の心であり、自分の意思なのだということをあらためて強調しておきたい。 いかなる状況になろうと、お互いに勇気をふり絞って生きていきたいものである。

銀行の不良資産が問題視され、銀行の経営状態に関心が寄せられているが、民間に資金を供給しているという意味では、この数年あまりの問に自動車、電気、流通、建築などの大企業は企業グループ内金融をそうとう増やしている。 また、銀行を通さない直接金融もそうとうやっている。
したがって経済全体として、不良資産がどれだけ存在するかを把握することは、じつはたいへん困難な状況にある。 金融機関のように、絶対倒産しないなどという「神話」が存在しない、メインバンクを持たない企業は、大量の不良資産を抱えている場合、非常に厳しい立場に立たされるだろう。
そのため、思いもかけない大企業が資金繰りに行き詰まって、突然倒産するようなことがいくらでも起こりうる。 本書が書店に並べられる前にも、この M 建設のように戦後最大と言われた負債記録が簡単に破られるほどの企業倒産が新聞を賑わせていても、まったく不思議ではない。
もしも、銀行が世の中のバブルというバブルを全部背負って沈没してくれれば、新時代の幕も開けようというものだが、事態はまったく逆に、銀行だけが最後まで生き残るような状況になりつつある。 言葉は悪いが、カネ貸しばかりが生き残って、ほかの産業が全滅するなどという時代になるとすれば、夢も希望もないと言えよう。
1993年、かつての名門企業 I がS 物産に吸収された。 上場企業と闇社会との密接な関係が明らかになり、経営トップが土地転がしによる特別背任行為で逮捕された(懲役刑が確定)。
さらに同年、いまはなき N 銀行(現・S 銀行)が国会でも問題になった。 E 支援を打ち切った。
もちろん、融資は焦げ付いた。 T 銀と N 銀行(現・ A 銀行)の2社に投入された公的資金(税金)は3兆円である。

T 銀はその後、R ホールディングス等のヘッジファンドに売却されることになる。 銀行は形を変えてなんとか生き残りはしたが、証券会社はドラスティックに切って捨てられた。
すなわち、S 証券が経営破綻、 Y 証券が自主廃業するのである。 倒産を完全に防ぐことは不可能だから、いくつか生賛となるところが出てくるいずれにしても、これからの時代、資金運用にあたっては金利の高い低いを考える前に、元本の安全性をよく見極めることが大切である。
民主主義の合議制というのは、権利の平等という側面から見ると優れたものである。 しかし、こと資産の運用に関するかぎり、合議制は危険なあり方である。
日本のバブルが巨大なものになった背景には、企業の財務行動において「合議制で同一行動をとること」に大きな原因があったのではないかと思われる。 ユダヤ資本の場合には、優れた運用者を選び出し、好きなようにやらせる。
それが全体のリスクを低くする方法だからである。 バブルが崩壊した現在、日本の金融機関や企業の財務部門の運用はどうなっているのであろうか。
いまの薄商いは、とうてい各人各様の運用の結果であるとは思えない。 「横並びの運用行動」ほど恐ろしいものはないが、日本の市場は、このことを痛いほど思い知らされる日が再び訪れることになる。
日経平均株価は最終的には7000円にまで下げてしまう。 為替レートは一気に1ドル100円を割る局面が出てくる。

さて、日本市場は、株に関しては低下トレンドが一段と明確になりつつある。 本書をまとめている現在にも、日経平均株価は1万6000円を割ってしまった。
J株入札の大失敗で、当面の株安はもはや決定的となった。 これでアメリカの株が崩れれば、日本株など一気に暴落である。
景気は最悪の状況に陥り、業種を問わず各企業とも利益の捻り出しに躍起となっている。 そこで持ち合いで持っている株を市場に売り出しているところが多いようだ。
それにしても大蔵省は、国民を馬鹿にするのもはなはだしい。 上場まではPKO(株価維持対策)やらなにやら持ち出して支えておきながら、上場によって市場からカネを吸い上げた途端、知らん顔である。
現在の株の下げに関しても、蔵相自らが「大蔵省としてなにも手を打つ考えはない」と述べるありさまである。 おそらく大蔵省としての現在の最重要関心事は、税制改革のなかに増税と減税を同時に盛り込むことだろうから、減税だけをやりたい政治家に対して、政府はJ株を放出したが、日経平均株価は1万6078円へと下落した。
J 清算事業本部は J 東日本と西日本の株式を市場の動向を踏まえて適切に売却する、としていた。 幹事会社は H が N 護券と G・S 、N は NSSB 証券とUBSU証券。
H の株式17万株、N の株式17万株を保有し、売却益は旧 K の年金債務支払いにあてられた。 大蔵省や政治家がなにをやろうと、インフレ経済からデフレ経済への移行という非常に大きな時代の転換は必ずやって来る。
そして今回の経済混乱は、アメリカにおいて日本以上のものになろう。 為替レートは円高に向かって動き始めており、急激な円高に突入する可能性がある。
アメリカも財政赤字、国内産業の空洞化、極度の貧富の格差、国内治安の悪化などの諸問題が、そろそろ限界点に達する。 アメリカが経済崩壊を迎えるとき、世界はたいへんな混乱を経験するだろう。

アメリカも日本と同じく、ニューヨーク市場のダウ平均株価は1993年8月に3652ドルの最高値をつけたあと、9月から下げトレンドにある。 これが3500ドルを割り込むところから暴落となる。
とりあえずは1000ドル安と日経平均株価は今後、アメリカ株式の下落と歩調を合わせて下げていくことになる。 そしてアメリカの1000ドル安が日本の3000円安となる。
そうなれば、日本株の売り時を見計らっている海外の投機筋は、自分たちの収益をさらに押し上げるために円高を同時に仕掛けながら、いっせいに売りを浴びせてくる。 そして最終的には7000円にまで下げてしまう。
為替レートは一気に1ドル100円を割る局面が出てくる。 株価の暴落と同時に、アメリカの金利はそうとう上昇する。

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